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想いに寄り添う家づくり「アトリエ橙+建築家・奥山裕生」(東京都・板橋区/練馬区)

設計課題の提出を終えて

<2018-08-16>

今年も、非常勤講師として担当している設計課題の授業が先々週で終了しました。今年の学生は全体的に設計のレベルが高かったように思えます。

設計課題で評価するポイントは、多くの人が「共感」できるかどうか。

学生の場合、奇抜、とまでは行かなくても、ちょっと現実離れした設計をしてくることがあります。それはそれで良いと思っています。むしろ、学生の時は自由な発想を伸ばす絶好の機会でもあります。

ただ、大切なのは、その設計に他の人が「共感」できるかどうか。自分だけの自己満足で、設計条件を無視して、「やりたいことをやりました」だけでは、建築として成立しません。

奇抜だけど、大胆だけど、「いいね!」「住んでみたい!」と思わせるレベルまで、設計力で作品を引き上げなければなりません。

大胆な提案の裏側に必ず生まれる多くのデメリット。それを鮮やかに解決してこそ、大胆なデザインが生きるものです。そのためには、繰り返し繰り返しエスキースが必要です。多くの人の意見に耳を傾ける柔軟性が必要です。今年はそういう作品にいくつか出会えたことが嬉しく思えました。

一方で、「普通の設計しかできないんです。すごいデザインが思いつかないんです。」と悩む学生も毎年います。建築雑誌の読み過ぎか、「普通」ではいけない、「普通」では評価されないと思い込んでしまっているようです。「普通でいいんだよ。」と答えます。「普通に設計できるということはスゴイことなんだよ。」と。本当は、それが一番、難しいのです。

敷地環境を注意深く読み取り、法的条件をクリアし、現実的な構造も考え、建物を利用する人の立場に立って、その家族の暮らしを想像し、あるいは、道行く人の視点に立って考え街並みを意識し、「普通」に設計すれば、それは、とても豊かで美しく、多くの人に共感される居心地の良い建築になるはずです。

そして、それはけして、平凡ではない建築になっているはず。そういう設計も、私は高く評価したいと思っています。

住宅設計はモノのデザインではなく、暮らしをデザインすることです。

今年の学生は、そういう意味で、いいデザインの住宅が多かったように思えます。この調子で、引き続き頑張って、それぞれの道を目指して欲しいと思います。

今年も刺激になりました。学生の皆さん、ありがとうございました。

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