上町の家

子育て住宅×自然素材住宅×継承する暮らし

「上町の家」のご家族からの設計依頼は今回で2回目でした。1回目は6年前、マンションのリノベーションの設計。今回は、近くのご実家に住まわれているご両親と、住む場所を交換されるとのことで、移り住むご実家のリフォーム設計のご依頼を頂けました。2度もご依頼頂けるとは設計者として光栄なことです。

△前回、設計した自然素材の雰囲気を気に入って下さっていたので、内装仕上げは、マンションから、ほぼそのまま継承。ナラの無垢フローリングと珪藻土。

△洗面脱衣所。大きさの異なる2つの窓を隠すように、3枚の木製建具でデザインをまとめ、同時に断熱性能を高めました。3枚の建具は、中央に鏡扉、左右はタモ柾目の板扉としています。

△脱衣洗面所。3枚の建具は、2本のレールの上を動かすことができます。例えば、中央の鏡扉を右側に動かすと、顔を洗う人の横で、お化粧をしたり、ドライヤーで髪を乾かすことができます。

△脱衣洗面所。扉をずらせば、後ろの窓が現れ、採光と通風を得ることができます。3枚の木製建具が、断熱と採光、通風、目隠し、使い勝手の向上、デザインの統一という6つの役割を果たしてくれることを期待しています。

△キッチンも寒さが課題でした。勝手口と2つの窓からの冷気が原因です。ご提案させて頂いたのは、キッチンの位置を90㎝ほど手前に平行移動し、勝手口付近に「前室(風除室)」を作ること。アルミの吊り戸で仕切りを設けました。明るさを確保しつつ、冷気を遮断しています。前室は冷えるので野菜置場にも適しています。

△キッチンの位置を平行移動したので、対面性が強まり、リビングダイニングとの繋がりも出来ました。孤立化していたキッチンが、空間の主役に躍り出た感じです。

△リビングの出窓は西日の暑さが問題でした。または、サッシのガラスを断熱ガラスに取り換え、室内側は、障子と木製建具でさらに開口部の断熱性を高めました。

△出窓の手前には、カウンター収納を設け、上部は壁をフカシ、エアコンを納めました。エアコンは、下部を解放した上で、木製ルーバーの目隠しをしています。

△「上町の家」では、リビングに隣接していた小上がりの和室をなくし、広々としたリビングダイニングを実現し、コーナーにスタディコーナーを設けました。和室の角にあった構造柱は、そのまま残しています。

△スタディーコーナーは、L字の腰壁で囲い、雑然としがちな机まわりをリビングから見えないようにしています。

物件概要
物件名:上町の家
所在地:埼玉県上尾市
構造規模:木造2階建て
工事面積:104㎡
家族構成:40代ご夫婦+子供2人
ご依頼の経緯:2度目のご依頼

建て主さんから寄せられた声

子どもたちがベッドで昼寝をする姿をみて、今回もまた、奥山さんに居心地の良い住まいを作って貰えたんだなと、夫婦共々しみじみと感謝の気持ちです。

 私たちの曖昧な希望を具現化して頂き、本当に感謝の念しかありません。全て終わってしまった後には少し寂しさも感じるくらい、楽しい時間を過ごすことができました。