家づくりコラム
色彩選択のコツは捨て色の美学
色彩選択のコツは「捨て色の美学」
内装の色をクライアントと選ぶ際に・・・
基本的にオススメしているのは、「捨て色(すていろ)」です。
「捨て色」というのは、色彩学の野村順一さんが提唱しているもので、ある色を美しく見せるために、引き立て役となる色のことを言います。
「行徳の家・ホームシアターハウス」でご一緒に仕事をさせて頂いた峰松啓さんの著書の中でも「捨色の美学」として紹介されています。
インテリアの色配分の基本は・・・
ベースカラー70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%と言われていますが、このうちのベースカラーを「捨色」にすることが「捨色の美学」と峰松さんが述べられています。
私も常日頃、そのように考えておりましたので、峰松さんの著書を読み、この「捨色の美学」という言葉に触れた時、大変、共感させて頂きました。
「捨色」の代表的な色はベージュで、その代表的な空間が和室ということになります。
和室・洋室を問わず、この日本的な色使いに学ぶことが、快適な住空間を創る上で、大きなヒントになるのではないでしょうか。
「捨色」は、筋肉の緊張を和らげる色と言われています。
野村順一さんの「色彩効用論」によりますと、ライト・トーナス(筋緊張度)想定値は、ベージュ、パステルトーン、青は、低く、「弛緩」反応。黄色、橙、赤は、高く、「緊張・興奮」反応が出るそうです。
住空間は、やはりくつろぐ為の空間ですので、
緊張や興奮を促すような色使いはできるだけ避けたいものです。
私がよく設計する空間の素材は、無垢の木、珪藻土、漆喰、和紙、エコクロスなどです。いずれも捨色に近い色で、ブラインドなどもベージュやアイボリー、あるいは木製をオススメするようにしています。
木と土壁の空間の中の飾り棚に、真っ赤なバラが一輪あると、
「捨て色」が引き立て役となり、思った以上に赤が引き立つものです。
また、食卓の上のペンダントライトにだけ原色を使ったり、飾り棚の上の花瓶だけ原色を使ったりすると、空間が鮮やかに彩られます。
木や土壁などの自然素材そのものの魅力を再編し引き出しながら、
色の構成としては、それらが逆に、引き立て役となる空間構成こそ、飽きの来ない豊かな住空間になるのではないかと思っております。